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7. コンピュータグラフィックスの基礎

7.2 座標系とカメラの概念


7.2.4 投影変換で画像を得ること

 平面図形を扱うときも、三次元的な世界座標を考えます。それは、眼の前に垂直な壁面を考え、その壁面に描かれた二次元幾何モデルの図形を、同じく仮想の平行投影のカメラで撮影します。壁面に世界座標を当てはめますが、ここでは記号として(y,z)座標を使います。x座標軸を考えなくても済むのですが、隠れ線・隠れ面の処理をするときに、視点から複数の壁面間の奥行き関係を区別するときに利用します。カメラのレンズを通して見る像は三次元的な性質を持っていますので、それを平面的な投影図として得るのが投影変換です。幾何学的には、座標変換の応用です。代表的な投影変換は、三種類です。結果として得られる投影図の方で区別すると、正投影図斜投影図中心投影図です。図学的に言えば、正投影と斜投影はどちらも平行投影です。工業製図に応用するときは、品物の形状が正しく表現できるように品物の座標軸をカメラ座標軸に合わせる正投影を使います。斜投影は、作図技法が少し面倒であることと、品物の形状が歪みますので、製図規格では正規の製図法にはしていません。中心投影図は、透視図、通称でパース(perspective)です。絵画では遠近法と言います。コンピュータグラフィックスを応用すると、人の眼で見るような自然な作図が得られますので、説明用に多用されるようになりました。コンピュータが利用できなかった時代にはかなり面倒な作図技術が必要でした。
2008.7 橋梁&都市PROJECT

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