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2. 日本語文書の構造

2.4 標準的な語順


2.4.1 語順で重要なのは動詞の位置

 一つの文単位の語順は、一つの言語環境に居るときは、無意識に使っている規則です。そのため、他言語、特に英語表現と較べるときは、意識しておかないと間違って理解が起こります。日本語はSOV,英語はSVOと言うのが語順です。語順は、大きな分類では、主語部(S)と述語部(V)の二つです。述語部は、動詞を基軸にして、幾つかの追加の語を組み合わせます。これを目的語(O)と括ります。伝えたいことを過不足なく一つの文にまとめるとき、昔の軍隊では「いつ・どこで・誰が・何を・どうした」と言うように教育しました。この並びの、後3つがSOV、前二つが状況説明の語句であって、補語と言い、英語ではattributeです。補語の語順としての位置は、説明を補う意義がありますので、かなりの自由度があります。文章をまとめるときの基本として5W1Hを満たすことが言われます。これは日本独特の規則だそうです。文単位の構成規則ではなく、文章全体の構成をまとめるときの心覚えにします。目的語は他動詞が取り、普通は物を表す名詞ですので、英語ではobjectと言います。英語のobjectは、物だけでなく、人や動物も含める意義の抽象語です。和語で発音して「もの」と言うと「ひと」を含みません。文語では「者」を「もの」に当て、人を表します。漢字の「物」は、人物・動物・植物のような熟語で現れるように、意義としてはobjectに通じる抽象語です。日本語の文法書で目的語と訳したのは、当を得た名訳だと思います。自動詞は目的語を取りませんが、状況説明の補語は、必要に応じて使います。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

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