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2. 論理演算

2.1 文を記号化する方法


2.1.2 定言命題とその種類

 定言とは、「かつ」「または」「ならば」などの接続詞や条件文形式を含まない、言い切りの文単位を言います。数学において、 ()を考えるとき、の取り得る範囲に制限がつく場合があります。例えば、
     ),(
命題関数の場合、変項に制限がつくものを束縛変項と言います。束縛とは、変項に個数を考えることを言い、制限のない場合を自由変項と言います。英語は、名詞の単数・複数を神経質に区別します。命題関数では、が複数個である場合の言い方の区別を、さらに二通りに分けます。全部と部分です。英語では「all,some」です。これを日本語に訳して言うときは、「すべて、或る」を当てます。
  ∀xFx;  全称記号を使う場合(束縛変項)
  ∃xFx;  特称記号を使う場合(束縛変項)
    Fx;  なにも使わない場合 (自由変項、単に論理変数Pのようにも書きます)

表2.1 定言命題−記号とその読み方

符号

定義の用語

記号での表し方

文章としての読み方

備 考

 

単純な命題

Ax

である。(単腹の区別をしないとき)

 

全称肯定命題、
(全称命題)

∀xAx
∃x¬Ax)

・すべてのである。皆……である。
・すべてのである。皆……である。
ここでの「¬」は、否定の演算子記号です。

全部肯定
  皆 (*2)

全称否定命題

¬∀xAx

・すべてのものはでない。
であるものは存在しない。
・皆…でない。

全部否定
 皆不

特称肯定命題、
(存在命題)

∃xAx

・或るもの(こと)はである。
であるものが存在する。   (*1)
・皆…でない、ことはない。

部分肯定
 不皆不

特称否定命題

∃x¬Ax

でないものが存在する。
・或るものはでない。
・皆…である、ことはない。

部分否定
 不皆

注(*1):日本語では、存在を表す言葉に、「居る(いる)」と「在る(ある)」とを使い分けます。
 「居る」は、人、動物などの生きている対象に用います。「在る」は、植物などの静物、
  無生物を対象とします。英語には、この言い換えの区別がありません。
 (*2):漢語では否定を表す「不」の使い方が合理的にできて、4つの命題が易しく区別できます。

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