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4 鳥瞰図は画家の創意が入る

4.2 地図は現地を歩かないと作図できない


 風景画は、或る一点から見た景色を描いた図です。工学的な利用を考えるときは、視点の場所、見る方向、そして対象物の寸法が分かるような情報が必要です。絵葉書などは説明文(キャプション)がありますが、十文ではないのが普通です。現地に行った経験があって、始めて具体的に向きが分かります。寸法比較には、浮世絵では、人物を描き込みがあることが重要な情報になっています。地図は、地形のあらまし、名前、尺度、そして東西南北の向きの記入が必要です。一般の人が使う地図ならば、経度緯度までの情報は必要ありません。パノラマ図は、画家本人が現地を歩き、地図を台にして、対象物を選択し、画家の創意で見取り図をデザインし、名前などを書き込みます。洛中洛外図では、京都の市街が方眼状になっていますので、地図情報の詳しい説明をしなくても、分かりやすい景観図に仕上げられています。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2016」

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