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2 石造のアーチ橋について

2.3 焼成煉瓦を積み上げる技術も輸入


 図2. 再建されたモスタル橋(出典?)
 天然石材を使うアーチ橋の建設は、材料の調達に問題があることと、経験のある石工の技能に頼る必要がありました。最初は、江戸城の石垣などを転用しましたが、それに代えて、明治10年代からは人工の石材である焼成煉瓦を使った建物やアーチ橋(メーソンリーアーチ)の建設が始まりました。その技術は、イギリスから学びました。ロンドン大火は1666年です。ロンドンの都市計画は、木造に代わる不燃化建築に取り組みました。その主材料が煉瓦です。江戸も明暦の大火(1657)を経験していますので、煉瓦造りの建物が近代化の象徴の一つになりました。東京駅を中心とした煉瓦造りの鉄道の高架橋は、現在も部分的に残っています。ただし、開化絵にはありません。関東大震災(1923)で、煉瓦造りの浅草の12階が大きな被害を受けたことを教訓にして、1930年頃から、鉄筋コンクリートや鋼材を利用する橋の建設の時代に入ったのです。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2016」

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