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11. グラフィックス言語の解説

11.3 グラフィックスの言語設計


11.3.4 図形要素に型の考えを使うアイディア

 やや高度な数学を応用したいとき、数の型に複素数型が使えるプログラミング言語があります。複素数は代数的に扱われますが、平面座標系の点の座標、または、原点からその点までを繋ぐ、向きの定義を持った平面ベクトルと解釈することもできます。一つの複素数は、二つの数の集合ですが、演算規則は、一つの変数扱いができます。この考え方を拡張して、点・直線・平面も、固有の型を持った変数として定義するアイディアが生まれます。例えば、二直線の交点は、直線の型を持った二つの変数記号L1, L2を宣言しておきます。交点は二直線の共通部分ですので、論理積の演算記号を & と約束しておいて、式の形にした(L1 & L2)の演算で求めます。点の型を持つ変数記号をPと宣言しておいて、結果をPに代入するプログラム文を、「P = L1 & L2」と書けば、交点計算が得られるようにします。この構文構成を筆者は幾何言語と言うことにしました。使い易くするため、全体のプログラミングの言語設計をBasic風にして、これをGeometry Basic、詰めて、G-Basicとしました。幾何学の大きな分類として平面幾何学と立体幾何学があり、次元的に見れば2次元と3次元です。1次元の幾何とは言いませんが、物差しの目盛位置で数の大小を説明するときに使うline geometryの用語があって、英語の初等幾何学の教科書に見られます。つまり、単独の数は、1次元幾何学の点の型としても考えることができます。
2010.11 橋梁&都市PROJECT

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