目次ページ  前ページ   次ページ

10. データベース言語SQLの解説

10.2 問い合わせの儀式


10.2.2 言語本体を設計するときは仕様書が要ること

 SQLの言語仕様の骨格は私的な標準(de facto standard)に始まり、1987年頃からISO/JISで規格化(de jure standard)が図られてきました。規格は、種々の要求を受けて改訂されていきます。しかし、規格そのものは、時代を先取りするのではなく、かなり保守的な提案をします。規格は憲法のようなものですので、規格の文書本体は、参考にする価値があります。プログラム言語のコンパイラを発売するベンダーは、ユーザの使い勝手が良いように拡張した機能を追加した製品を出すこともします。そうすると、バージョン違いや、他のベンダーの製品で利用するとき、正常に機能しないことが起こります。規格に忠実な範囲でプログラミングすると、幾らか不便ではあっても、ソースコードの互換性が高くなりますので、プログラムを管理する場合には重要な態度になります。規格の元(オリジナル版)は英語版ISOです。JISは、それを翻訳した日本語版です。この二つを比べると、前の、第7.1節最後の段落で説明したように、人に説明するときに使う用語の定義(1)と、コンピュータが理解する方の予約語の定義(2)との違いを確認することができます。(1)の方の英語用語で、日本語に訳し難くて、カタカナ語で使う語があります(例えばスキーマ)。元の英語の定義を翻訳しただけでは、日本語の環境では説明になりません。また、紛らしいのですが、予約語(reserved word)の意義の語彙の集合を、キーワードと説明することがあります。こちらは、データベースの検索目的に使うキーワードと違う語彙の集合であることに注意します。
2010.10 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ