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6. 文書の作成技術

6.7 コンピュータリテラシーの教育


6.7.1 学問ではなく技能の教育として捉える

 筆者は、或る私立大学の文科系情報学科の非常勤講師として、5年ほど、プログラミング入門の講義と演習の経験をしました。カリキュラムの内容をどのように組み立てるかの模索がありました。学生の知識レベルはまちまちです。書店に行けば、コンピュータ関係の書物が溢れていますので、既にかなり実用知識に詳しい学生もいます。そのような学生も含めて、対面授業の場でないと基礎的な知識の穴埋めができないことを納得させる内容が必要でした。プログラミングを学問として説明するのではなく、作文術として捉えることにしました。そう考えると、技術の問題としての三つの要素を考えることができます。それは、「道具・技法・技能」です。道具はコンピュータのハードウエア、技法はソフトウエア、つまりプログラム、技能は使い方のノウハウです。道具としてのパソコンは、講義室で学生数だけ用意されています。キーボードのタイピングは基礎的な技能ですが、これは個人で習得してもらうことにして、必要な情報と技能習得の目標は開示しました。プログラミングはコンピュータ向けの作文ですが、何かの目的が必要です。一般的なプログラミング言語、例えばBasicやC言語を使うことは、入門授業には向きません。そこで、ワープロの使い方の基礎を教え、それをHTML文書に直し、学生間でリンクを構成するまでの必要知識と技能を埋めることを計画しました。プログラミング文書の例題として、お料理のレシピの文書作成を含めることにしました。レシピは、料理手順の解説書、つまりプログラム文書の性格があるからです。英語で書いたレシピもありますので、作文術について日英の比較ができることも含みにできました。
2010.6 橋梁&都市PROJECT

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