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5. 形容詞・副詞・助詞の話し

5.3 プログラミング言語の中の形容詞


5.3.5 線図作成と濃淡図作成のグラフィックスソフト

 物の形は、外形線で図に表すことができます。寸法数値を添えることで、正確で具体的な情報となります。工業製図は、物造りに必要な情報を表現する技術として、線描きの技術で作成し、原則として色や濃淡表現を使いません。数学的な関係を図化するときも、曲線で表すと数式の性質の理解に役立ちます。この場合には、絶対的な寸法ではなく、相対的な大小比較が分かるような描き方をします。線図を描く装置は、電気計測器ではレコーダとして製作されています。工業製図に使うコンピュータ制御の作図装置はプロッタと言います。工作機械をコンピュータで制御することを数値制御(NC: Numerical Control)と言いましたが、プロッタは、ペンの位置制御に応用して作図させる装置です。この装置では、濃淡表現には向きませんので、それに代えてハッチング(hatching)の技法を使います。テレビの画面は、以前は白黒、それからカラーのブラウン管を使う時代へと移りましたが、濃淡表現は電子ビームを線描きのように動かして(走査させて)その道筋だけで発色させる装置です。線図表示にも利用されましたが、濃淡図を表示するモニタとしての利用に特化して使いますので、こちらは線図を描くには向きません。マイコンの利用は、カラーモニタでグラフィックスを楽しむ使い方が多くなりましたので、それをサポートするソフトウエアが必要になりました。つまり、グラフィックスソフトは出自が違う二系統、線図用と濃淡図用、があります。現在はレーザプリンタやインクジェットプリンタを使って、濃淡図を印刷できるプリンタができて、プリンタとプロッタとは原理的には同じ装置になりました。文字は図形ですので、文字の作図データが二系統あります。線図用データと濃淡図用データです。コンピュータから見るとき、プリンタとプロッタは外部装置、つまり「物」ですし、図形も形を持つ「物」扱いをするようになり、この全体を扱うソフトウエア開発を「物を扱う」と言う意義を持ったオブジェクト指向プログラミング(object oriented programming)と呼ぶようになりました。物の性質を言うときは、形容詞を踏まえた属性変数名を使い、数値で具体的に指示する方法を使います。
2010.5 橋梁&都市PROJECT

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