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5. 形容詞・副詞・助詞の話し

5.3 プログラミング言語の中の形容詞


5.3.1 形容詞と副詞は感覚を表す言葉であること

 形容詞(ここでは副詞も含めます)は、物事の状態(形容)を説明するときに使う言葉です。その状態とは、大きく分けて二つあります。人の五感、主に眼と耳、を介して理解できる具体的な性質と、精神作用でなければ理解できない抽象的な性質です。人に代わって、コンピュータが形容詞で表される性質を理解できるかどうか、を考えてみると、二つの状態の区別が分かります。前者は数値を介して説明できますが、後者はそれができません。コンピュータは、数の四則演算をさせる道具として開発されたのですが、物事の性質を数に置き換えて処理する道具へと発展してきました。そうするには、コンピュータ側からみると、物事の性質を数の大小で扱う物理的な外部測定装置が必要です。画像処理を考えるとき、ビデオカメラとマイクロフォンが人の眼と耳に代わる装置です。デジタルカメラが取り込む数値情報は、被写体の形と色です。他の人に説明するときに言う形容詞は、和語の語幹の対で言うと、「大小、長短、高低、太細、多少、明暗、黒白」などです。程度の大小を区別する名詞は、「大きさ、長さ、高さ、明るさ」などですが、普通、言葉で言うときは、数値を添えるのではなく、相対的な比較の物言いをします。英語で形容詞を比較級・最上級を使う場面がそうです。デジタルカメラが取り込む形容詞的な情報は、数値化ができます。しかし、「美しい」の形容詞は、人の感情で判断する性質を言いますので、デジタルカメラで扱うことができません。この区別を、筆者は、属性形容詞と感情形容詞の用語で分けます。人の五感で理解する形容詞的な性質で、甘い・辛い・痛い、などは感覚形容詞と言うこともできますが、これは主観的な形容詞ですので、感情形容詞の方に含ませます。眼で見て理解できる形状を表現する大きい・長いなども感覚形容詞と言えなくもないのですが、こちらは客観的に理解できるので、属性形容詞として独立させることにしました。
2010.5 橋梁&都市PROJECT

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