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5. 形容詞・副詞・助詞の話し

5.2 形態素解析の位置づけ


5.2.9 言葉の発声と文書記録との相互交替が重要である

 紙に書かれた文書は、声に出して再現することが目的です。黙読をしていれば音声と関係が無いと考え易いのですが、実際は頭の中で音を再現して読んでいます。読みを助ける手掛かりは、句読点のような明瞭な記号と共に、意味のある語の区切りを眼で判断しています。音を文書化し、それから音を再現する例として、第2章図2.1で楽譜の紹介をしました。音符は、音単位の記号です。音符と音符の間を切って演奏することを基本とし、音を滑らかに繋ぐ記号にタイとスラーを使います。音を出さない指定が休止符です。歌曲で言葉を割り当てるときは1音節1音符ですが、単語の切れ目や息継ぎの個所は、タイとスラーの切れ目が当たり、文としての切れ目は終止符の個所です。文書は、音の高低や長短を文字化しない表記です。発声は標準的な速度がありますし、リズムに乗るような音節の繋がりがあると聞き易く、理解も助けます。表音文字のアルファベットを使う欧米語では、音の並びをそのまま文字に落とせば、ほぼ正確に言葉の記録が得られます。コンマやピリオドを補い、スペルを僅かに修正すれば実用的な文書の作成ができます。単語の分かち書きは、ほぼ形態素単位になります。分かち書きをしないと、読み難くなりますし、音声の再現のとき、別の意味単位になることがあります。欧米語のようにアルファベットを使う言語では、書き言葉と話し言葉の交替で意味が変わる確率は高くなりません。英文で書かれたテキストをコンピュータに読ませて発声させるソフトは、かなり以前から開発されていました。パソコンで利用する実用的なソフトは、1984年、アップルコンピュータに搭載されたにMacInTalkが最初です。音から文字への変換は、音声認識の技術です。こちらは、物理的な装置の助けが別に必要ですので、文字並びを対象とした言語学の研究からは少し距離があります。
2010.5 橋梁&都市PROJECT

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