目次ページ  前ページ  次ページ

2. 日本語文書の構造

2.5 語順の分解と組み立て


2.5.2 動詞も多様に使い分ける

 動詞は、言語種類間の差が大きい品詞です。外国語を正確に覚えるとき、動詞の使い方に重点を置きます。日本語では活用を覚え、英語は時制と不規則動詞を覚えます。人称でも変化します。和語、つまり、元からある日本語の動詞語幹の言い方は、同じ意味の漢字の中国語発音とは別ですが、便宜的に漢字を当てて和語的に読ませます。これが訓読みです。この使い方が日本語を複雑にしている一つの理由です。例えば、「走行(そうこう)する」と言うのはする名詞的な言い方、「走(はし)る」は訓読みの使い方であって、意味は同じです。前者は、中国語からの輸入語の性格を持っていて、格式を持たせた書き言葉に使う傾向があります。眼で用語を確認して同音異義語と区別しなければなりません。後者は、話し言葉で使っても意味を取り違えることはありません。日本語の動詞は活用します。動詞を形容詞的、または副詞的に次に続く語句を修飾する使い方があって、連体形・連用形としています。文の中の語として機能は、形容詞や副詞になっています。連体形で使う文は、英語文法で言う関係代名詞的な使い方であって、先行詞との語順が逆です。つまり、動詞の意味が強いのですが、修飾語としての使い方もします。動詞として挙げておいた言葉が、他の品詞の性質に変わる使い方は、品詞分類に拘ると、理屈を付けるときに困るのでしょうが、日本語では、上で説明した「する名詞」「なに名詞」に見るように、多様に語尾を変えて、目的に合わせた品詞に変えます。動詞も例外ではありません。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

前ページ  次ページ