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2. 日本語文書の構造

2.3 語順と向き


2.3.4 言語理解は複数の発声の同時進行がないこと

 聖徳太子は、七人の人の請願を同時に聞き分けたと伝えられています。しかし、普通の対話の環境では交互に話しを切り替えます。時系列として見るとき、言語の発声は、複数の事象の同時進行はありません。同時通訳がありますし、テレビでは二ヶ国語放送もあります。両方を同時に聴き分けることができるのは特殊な能力と言えるでしょう。ラジオやテレビでは、音声のバックグラウンドに音楽を流すこともしますが、時系列の種類が違います。これに対して、音楽では並列同時進行があります。日本で多くの人が合唱をするとき、すべて同じ歌詞で、音程も旋律も同じです。伴奏があるときも発声を誘導するように同じ音程と旋律を奏でます。音程を代えた和音(ハーモニー)にすることや、伴奏が別の旋律を奏でるような歌い方は地についていません。
2010.2 橋梁&都市PROJECT

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