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15. アーチ橋の計算(続)

15.2 振動の理論解析


15.2.2 簡易な振動数解析法を利用する

 アーチ系橋梁の振動の性質に関しては、支間中央に節のある左右逆対称の振動が卓越することが、従来からの経験的な知見として知られています。力学的なモデルは、格点に集中質点を考えます。振動方程式を立てるときは、格点での撓みの影響値を元に、振動方程式を立て、固有値計算をするのですが、これはVisual Basicなどの汎用言語でプログラミングするのが常道です。EXCELを使う数値計算には幾らか負担が大きいので、フーリエ級数を使う簡易な方法を提案することにします。二ヒンジアーチ橋の固有振動モードは、近似的にフーリエ級数とみなすことができます。固有振動状態のとき、振動問題は静的な解析に置き換えて計算することができます。集中質点の質量をm、振動モード(変形)をy、そのときの振動角速度をωとすると、mωyの静的な荷重をシステムに載荷させると、変位がyになる条件で角速度が得られます。力と変位との関係は、アーチリブだけでなく、床組、水平桁部を含めた全体系の曲げ剛性を考えて、活荷重に対する撓みの影響線を求めます。これをマトリックスにまとめます。振動モードは、格点位置での離散的フーリエ級数で与え、これを単位ベクトル量iとします。このベクトルを行要素の集合としたマトリックスをとすると、××の計算をして得られるマトリックスの対角線要素から振動角速度ωの計算が得られます。EXCELには、マトリックスの積を演算させる関数があります。具体的にはアーチ橋の再現設計を作成するエクセルSoft:"ARC2TS31V00.xlsを参照して下さい。
2010.11 橋梁&都市PROJECT

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