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15. アーチ橋の計算(続)

15.1 吊橋の計算との相違


15.1.3 温度差応力の計算方法も理解しておく

 外的不静定構造である上路アーチは、アーチリブの温度変化による支間方向の伸縮が拘束され、温度応力が発生します。この計算法は、吊橋の場合と同じです。しかし、下路アーチは、アーチリブと水平桁部とが支点位置で結合されていて、外的には静定ですので、アーチ橋全体が一定の温度状態であれば温度応力は発生しません。アーチリブと水平桁部とで温度差を考える場合には、その差に相当した温度応力が発生します。どちらの場合も、アーチリブ単独を取り出して、支間方向の伸縮を戻すように不静定の水平反力を求めます。前章の式(14.1)で示したエネルギー式を元に、水平反力=1が作用するときの水平変位δを求めます。温度変化による支間方向の伸縮量は、単純に支間長Lを考えて線膨張係数と温度差を代入すれば得られます。温度変化は、標準温度(20℃)±30℃、線膨張係数は1.2×10-5を使います。この際、アーチリブの曲線形を考える必要はありません。
2010.11 橋梁&都市PROJECT

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