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14. アーチ橋の計算

14.2 アーチ橋の各部の名称


14.2.3 桁橋をアーチで補剛する形式が開発された

図14.4 通路の桁をアーチで補剛する形式
 基本的なアーチ橋の考え方は、アーチリブで死荷重・活加重のすべてを持たせます。これに対して、通路である桁橋の方を主に考えて、これをアーチで補強する考え方があります(図 14.4)。最も単純な構造は、斜めの柱部材で下から桁を補強する方杖橋です。斜めの部材を桁と一体化するとラーメン橋ですが、ここでは説明を省きます。図14.4Aが標準的な二ヒンジアーチです。アーチリブは、十分に大きな曲げ剛性を持たせて設計します。床桁は、等間隔の柱部材の上で支えた小径間の連続桁ですが、リブに比べて曲げ剛性の小さな床桁です。図14.4Bは、水平な主桁部分に大きな曲げ剛性を持たせ、アーチリブは単純な柱として扱い、曲げ剛性を考えません。ドイツ語ではスタブボーゲン(Stabbogen)と言います。日本では上路のランガーまたは逆ランガーと言います。図14.4Cは、アーチリブと水平桁部分 共に曲げ剛性を持たせて設計する構造であって、日本では上路のローゼ、または逆ローゼと言うようになりました。用語として「逆」の字を使うのは良い命名法ではありません。当初、単に、ランガー、ローゼとは下路構造の形式を言う約束でしたので、アーチリブの位置が上下逆になることから使い始めたようです。図14.4の上路形式の水平主桁部は、支間がアーチリブの支間よりも大きくできます。中央でアーチリブと剛に拘束させて、橋軸方向の水平力をアーチリブに伝える構造に設計することに注意します。なお、鋼構造では、曲げ剛性を持たせる水平桁部、アーチリブをトラスで組む構造も採用されます。
2010.10 橋梁&都市PROJECT

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