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14. アーチ橋の計算

14.2 アーチ橋の各部の名称


14.2.1 開腹アーチは近代化された石橋の象徴である

図14.2 聖橋(1927)、鉄筋コンクリート造のオープンスパンドレルアーチ(撮影:藤原稔)
 漢語では、アーチ(arch)橋を拱橋と書きます。因みに、トラスに当てる漢字は「構」です。拱は、訓で「こまねく」と読みます。胸の前で両手を繋ぐと半円形アーチになる形から付けられた用語です。アーチの主構造は、円孤状の梁であって、英語の用語は、あばら骨の意義をもつリブ(rib)と使います。鋼アーチ橋では、トラス状に組み上げた全体を、マクロに見て細長い曲がったリブとして扱うことができます。これをブレースドリブ(braced rib)、またはトラスリブと言います。トラスの組み立て方で、鋼のアーチ橋には種々のデザインが工夫されています。単体で曲がったリブを区別したいとききは、ソリッドリブと言います。アーチ橋の構造は、アーチリブで水平な通路部分をから支えることが基本です。石造アーチではリブを切り石(arch stone)で繋ぐのですが、このままでは曲げ変形に抵抗できませんので、通路とアーチ部との間に厚みのある腹部を丁寧に固めるように充腹の石組みが施工されます(図14.1)。この部分は、同時に、意匠的なデザインが工夫されることがあります。近代的な鉄筋コンクリートのアーチ橋では、リブ本体に曲げ剛性を持たせる設計をしますので、この腹部を三角形の窓枠(スパンドレル:spandrel)のように抜くデザインができます。これを開腹アーチ(オープンスパンドレル:open spandrel arch)と言います(図14.2)。鋼のアーチ橋で、腹部全体をトラスに組む設計もありますが、この三角形の隙間をスパンドレルとは言いません。
2010.10 橋梁&都市PROJECT

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