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10. 小径間吊橋の計算

10.4 階差式を使う表し方


10.4.2 計算上のパネル割りを別に考える

 構造物の幾何学的形状は、大なり小なり、幾つかの等間隔部材の集合で構成されます。トラス構造がその代表です。単純トラス橋では、パネル割りの数が多くても10前後です。吊橋の補剛トラスなどは、図10.4、図10.5で見るようにパネル数が20ないし30を超える場合も少なくありません。そのため、構造解析では、トラス桁全長を均質な桁に仮定し、適当な等分点で計算します。等分数は、常識的には10等分です。吊橋では支間の1/4点付近の応力と変形が大きく出る特徴がありますので、これを考えると12等分にしたいところです。吊橋では影響線が正負交番する曲線になりますので、正負、それぞれの影響線面積を計算する必要があります。しかし、再現設計の場合には、変形や応力の大体の傾向が分る8等分点で計算しても役に立ちます。コンピュータを応用する計算ならば、分割数を無理に減らさなくてもよいのですが、リストを不必要に多く出したくなるので、迷惑なことも少なくありません。吊橋計算のエクセルSoftでは、マトリックス計算に使う数表配列をA4のレポート書式の横幅に収めることを考えて、8等分の計算例を載せました。任意のパネル数で分割することを考えて、以下の式を示します。微分方程式の解から階差式に直す考え方は、格子の分配係数の計算(第6章)、スラブの分配計算の計算(第8章)で示した方法と同じです。単純吊橋の場合には、パネル数をNとし、格点に左から0,1,2,…Nと番号を振ります。格点番号0とNは支点です。ここでは曲げモーメントも撓みも0の条件がありますので、マトリックスの次数は(N-1)で計算できます。
2010.1 橋梁&都市PROJECT

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