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8. RC・PCスラブ橋の計算

8.2 直交異方性版の解析モデル


8.2.1 二方向を考えた四階の微分方程式を扱う

 理論解析の出発は、まず、梁の曲げ変形を扱うときの微分方程式を、平面的な広がりを持つ直交異方性版の変形に応用する式に拡張します。これを下のように表します。

式(8.1)に示すパラメータBx,Byについては、並列した主桁、横桁の曲げ剛性を桁間隔で均した値ですので容易に理解できるでしょう。桁単独を考えるとき、曲げ剛性は、ヤング率Eと断面二次モーメントJの積を使います。桁単独の単純捩れ剛性は、剪断変形に関係しますので、剪断剛性係数Gと捩れの方の二次モーメントKを使います。コマのように回転させるときに考える力学的慣性モーメントは、二方向の曲げ計算用断面二次モーメントの和です。剪断応力度の分布に関係する二次モーメントKはこれより下がります。同じになるのは、均質材料の円形断面の棒部材だけであって、K=2Jです。一般的な断面形の数値計算に使う式は、例えば、デザインデータブック(橋建協)の公式集などを使います。一方、剪断剛性係数Gは、材料のポアソン比と関係しますが、2G<Eです。つまり、GK≦EJの性質があります。縦横2方向に桁を並列して、全体を均質な直交異方性のスラブでモデル化するとき、式(8.1)のHは、2H≦(Bx+By)です。このことを考えて、式(8.1)の微分方程式を解く場合には、パラメータHは、Bx,Byと無関係に決めるのではなく、式(8.2)の条件を仮定します。
2009.11 橋梁&都市PROJECT

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