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8. RC・PCスラブ橋の計算

8.1 問題点の解説


8.1.2 捩れ剛性は二種類あること

 橋全体は、断面形が変形しない一つの棒状の部材と仮定すると、捩れ剛性がないと安定な部材になりません。構造力学的に言うと、支点を外して取り出すと簡単に捩れますので、内的に不安定な構造です。両支点で、少なくとも2個の対の支承を使うことで、全体が捩れに対して外的に安定な構造になります。捩れは、幅員の左右で逆対称の荷重の対で生じるとし、これを左右主桁の反対向きの曲げ撓みで受けます。これを曲げ捩れ剛性で持たせると言います。捩りモーメント(トルク)だけに抵抗するように設計する部材は、自動車の車軸などの回転軸、例えばプロペラシャフトがあります。この捩れを、曲げ捩れに対して単純捩れ、またはサンブナンの捩れ(Saint Venant)と区別して言います。トルクに抵抗するのは断面の剪断応力度の方です。橋梁断面は、複数の部材が集合した構造ですので、トルクは、曲げ捩れと単純捩れの両方を考えます。単純捩れ剛性が十分に大きい単独の箱構造と仮定できるとき、幅員方向に偏心して荷重が載っても、大きな捩れ変形が起きません。応力度は、純曲げと純捩れとを個別に計算できます。幅員に対して支間が長い橋を計画するとき、単純捩れ剛性の小さな並列2主桁橋は、捩れに抵抗させるため、左右の主桁間隔を広くしなければなりません。単独の箱桁断面を採用すると、箱桁の横幅寸法を支える左右支承の間隔は、静的な全体転倒の安全だけを考えればよく、さらには橋脚や橋台の幅も、相対的に狭くすることができます。
2009.11 橋梁&都市PROJECT

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