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7. 鋼鈑桁橋計算エクセルSoftの解説

7.1 構造の理解


7.1.1 板を扱う応用力学が基礎であること

図7.1 補剛材の配置
 支間にして20〜40mの中程度の長さを渡す道路橋は、鉄筋コンクリートの床版を使う鋼プレートガーダー(板桁)が多く架けられています。古い用語は、金偏の鈑桁です。カタカナ用語のプレートガーダーが一般的ですが、表題の字数を節約することと、紹介の意味を込めて、敢えて使いました。プレートガーダーは、見かけの構造は簡単ですが、相対的に薄い鉄板を組み合わせて、大きな荷重、特に鉄道橋の場合は機関車重量、に耐えるような桁に構成します。薄板単独は構造的に頼りない材料ですので、材料強度を有効に利用するために板の局部的な座屈変形を抑える必要があります。実務的には、板厚と板幅の比、補剛材の使い方、板の接合方法などを、示方書が提案しています。補剛材は、薄板の座屈防止に用いるもので、板の垂直方向と水平方向に用意されます(図7.1)。既設のプレートガーダーを目視で観察するとき、鉄板の使い方、つまり構造を見ると、設計計算の背景が分ることがあります。そのためには、実務で使う設計計算書を例題にして勉強しなければなりません。垂直補剛材は、板の剪断座屈に対する目的を持ちます。トラスの垂直材の使い方と似ていて、標準的な間隔は、腹板高さを参考にします。水平補剛材は、腹板の曲げモーメントの圧縮側に配置します。水平補剛材は、垂直補剛材の個所で切りますので、主桁断面計算には使いません。
2009.10 橋梁&都市PROJECT

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