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5. プレートガーダーの構造

5.4 合成桁の鋼断面提案法


5.4.1 合成桁の発想

 橋の建設は、地域の生活環境としての要望もありますが、技術的には、一跨ぎでなるべく長い支間を渡したいとする希望を励みにして研究されてきました。合成桁としての設計法は、非合成の設計仮定の延長にあって、単純桁形式の適用支間を伸ばすことができます。一般的に言えば、構造解析モデルの仮定は、必ずしも実橋の力学的挙動を正確に表すとは限りません。設計法は、モデルを実情に合わせることにも研究努力がされてきました。しかし、部材に作用する応力は内力ですので、これを直接測定することはできません。戦前までは、自動車荷重を載せて撓みを測定することが、橋梁の力学的性質を確認する唯一の方法でした。単純橋として設計された撓み実測値は、理論で推定した撓みの50〜70%の低い値であって、実橋は、かなり大きな剛度があることが知られていました。戦後、部材の歪みをミクロに測定する装置として、抵抗線歪み計が実用されるようになって、研究に大きな進展が見られました。鋼桁部の曲げ歪み分布を計測してみると、中立軸の位置が上フランジの方に上がっていることが測定され、合成作用が具体的に確認されました。次のステップは、この性質をどのように設計法に反映させるかの研究でした。この部分は、ドイツの橋梁技術の文献を模倣することから始まりました。
2009.8 橋梁&都市PROJECT

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