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2. 単純トラス橋の力学

2.4 弦材の影響線


2.4.3 符号の考え方で混乱が起きる

 曲げモーメントの影響線を部材力の影響線に直すとき、符号の取り方とグラフの表示方法で理解の混乱が起こります。部材力は、数学的には引張力を+、圧縮力に−の符号を付けます。単純梁の曲げモーメント影響線は下向きを正として描きますので、上弦材の軸力の影響線は、曲げモーメントのグラフを上下逆にした形に直すのが符号の付け方としては正しいので、殆どの橋梁工学の参考書はこの上下を取替えた図示方法で説明してあります。しかし、図2.9ではそうしませんでした。この調整は、計算書にまとめるときに対応させます。次の節で説明しますが、斜材の影響線の場合には、この符号の付け替えのときに間違いを起こすことがあるからです。影響線を手計算でまとめる場合には、この判断を人がします。しかし、コンピュータを使って影響線を求めるときは、その都度人が符号を判断するのではなく、機械的に符号が決定できる方法が望まれます。そこで、混乱を避けるため、エクセルSoftのトラス部材影響線の計算では、曲げモーメントの影響線の符号をそのまま引き継ぎ、部材力を計算するとき、の方に符号を付ける約束にして部材力の正負(引張と圧縮)に対応させるようにしてあります。
2009.5 橋梁&都市PROJECT

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