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2. 単純トラス橋の力学

2.4 弦材の影響線


2.4.1 影響線は橋梁工学固有の解析であること

 静定トラスの部材力は、部材の弾性的な変形を考えるまでもなく、外力全体の外的な釣合い条件と、格点での部材力の釣合い条件だけで求まります。橋梁の部材応力は、橋の上を通行する車両位置によって変化します。どこに荷重が載れば最大応力になるかを知るため、影響線(influence line)を求める解析が、橋梁工学固有の問題です。建築構造は、主に自重のように静的な荷重だけを考えればよいので、図式解法などの計算方法もあります。橋梁の影響線は、部材ごとに求めますので、計算量が非常に多くなります。この計算を効率的に進める方法が数値計算での重要な課題です。効率の良いトラス構造は、荷重の作用位置によって、応力が出ない、または応力が小さくしか出ない、言わば遊ぶ部材を少なくします。ただし、圧縮材の座屈変形を抑える目的で二次的な部材を追加することがあります。
2009.5 橋梁&都市PROJECT

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