目次ページ,  最初のページ,  次ページ

1. 橋梁設計の実務

1.1 設計文書の性格


1.1.1 設計文書は公文書であること

 一般の道路交通に供用される橋は、公共構造物です。したがって、橋は公的機関が管理しますので、その目的に必要な文書類は公文書の性格を持ち、アーカイブ、つまり保存文書の対象です。橋の図面と計算書は、建設時だけの利用だけでなく、長い年月に亘って、必要なときに参照できるように保存を考える必要があります。ただし、電子的なファイル記録は、アーカイブ用保存媒体としては、まだ歴史の試練を受けていませんので、過度に信用するのは危険です。多くの橋の建設需要に応えるため、標準設計も提案され、図面や計算書を保存しない場合も増えてきました。このことが、再現設計が必要になった理由の一つです。橋の戸籍簿に相当する文書を橋梁台帳と言います。しかし、道路法ではその整備が義務付けられていない理由もあって、或る程度の重要橋梁を別として、そもそも橋の存在の全体像さえつかみかねているのが実情です。また、重要橋梁に関する設計文書であっても、設計・製作・架設に携わった民間会社側が保存してある資料に頼る、といった情けない実情があります。民間会社が消滅すると、その会社が保存管理していた資料も散逸しますので、大きな技術的財産の損失になります。
2009.4 橋梁&都市PROJECT

最初のページ  次ページ