2.4 作業用ウインドウの計画
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プログラミングとは、指定されたプログラミング言語を使ってコードを記述することです。コードを記述したファイル単位をコードモジュールと言います。VBでは、コードモジュールは二種類のファイルで構成します。標準モジュールとフォームモジュールです。ファイルの拡張子は(.bas)と(.frm)です。標準モジュールは、従来のBasic言語と殆ど同じですので、Quick Basicもしくは N88 Basicのソースコードに多少の変更を加えれば再利用できます。フォームモジュールは、VBになって必要になったモジュールであって、その中身はウインドウの幾何学的デザインと、そのウインドウの機能を記述する部分とから成り立っています。フォームモジュールはテキストファイルで構成されますが、VBの開発ツールが自動的に書き込む部分は、プログラミングの作業中にはユーザーかららは隠されています。中身を全部見たければ、何かのテキストエディタを使って開きます。
一般論として、Windowsのプログラミングの骨格は、幾何学的図形としてのフォームの設計と、それを構成するオブジェクトの機能設計にあります。そして、その機能の大部分はインタフェースに関わるものです。DOSの環境では、ユーザインタフェースはキーボードとコンソール画面だけでしたので、標準モジュールだけにすべてを記述しました。Windowsの環境では複数のウインドウを使い分ける必要がありますので、ウインドウ単位で画面設計とフォームモジュールを作成します。実践的なプログラミングの場合、開発したいプログラム単位ごとにフォームモジュールを一つ一つ書くのではなく、あるプロトタイプのフォームを作成して利用します。Windowsのプログラミングは未だ未成熟の面がありますので、プロトタイプのウインドウの設計を提案することから始める必要があります。
幾つかのウインドウを利用するプログラミングの環境をMDI (Multi Document Interface)と言います。これは全体制御に一つの親ウインドウを使い、その作業領域に複数の小ウインドウを表示します。VB_Graphicsでは、下に示すような基本的なプロトタイプウインドウを使います。この構成は、他のプログラミングでも大体において共通です。
- 親ウインドウ:上段にメニューバー、下段にステイタスバーを付けます。ステイタスバーはパネルに分割してあって、メニューバーと共に、マウスを使うユーザーインタフェースの場を提供します。このパネルは、ファンクションキーを持つキーボードで、ファンクションキーを利用する操作をモデル化する意義を持たせます。
- コンソールウインドウ(子):DOSのユーザインタフェースの場を提供するウインドウであって、ユーザのキーボードからの入力受け付けと、プログラム側からのメッセージの表示を行います。キーボード入力を必要としない場合には、テキスト入力を受け付けるテキストボックスは表示しません。また、入力項目が多い場合には、別に設計したデータ入力用ウインドウを開きます。コンソール画面は、VB_Graphicsを立ち上げたとき、種々の解説を表示する目的に使いますが、グラフィックスを観察するときには邪魔にならないように最小化できます。
- テキストウインドウ(子):プリンタに出力させるテキストデータのモニタに使うウインドウです。テキストエディタの機能を持つリッチテキストボックス(オブジェクト名です)を載せます。コンソールウインドウからの入力テキストは、ここに出力されるようにしてあります。コンソールウインドウのテキスト表示領域は有限ですし、また一過性の表示ですが、こちらはスクロールが効きますので、分量の多いテキストの表示と一時保存の場所としても利用でき、必要に応じてファイルにデータを保存できます。クリップボードに保存した画像も貼付けることができます。Printサブメニューを使って、画像と一緒にハードコピーも取れます。ただし、ファイルに書きだせるのはテキストデータだけになります。
- グラフィックスウインドウ(子):主としてline drawingの画面を提供するために、ピクチャーボックス(オブジェクト名です)を載せます。この画面がVB_Graphicsの主題です。
- ビットマップ用ウインドウ(子):これはグラフィックスウインドウですが、特にビットマップ図形の表示専用に使いますのでイメージ(オブジェクト名です)を載せます。ビットマップ画像を任意の縦横比の寸法に変換する機能を用意しましたので、レポート用に画面を準備するプレプロセッサに使うことができます。ただし、色の編集などの画像処理はサポートしません。
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