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3. 演繹と証明の実践的方法

3.1 言葉の説明


3.1.2 数学で使っている演繹と推論

 証明法の第一は、式を順々に並べていって、最後に、「故に…である」で締めます。結論が一つしかないときの普通の方法です。式を合理的な順に並べて行く過程が演繹です。特殊な記号「∴」を「ゆえに」と読んで、それを頭に付けた式が結論であって、式全体を並べる方法が証明です。演繹は、説明の途中に、直接必要としない余分な式を使うことを、できるだけ省きます。順に説明する途中の式を省くと、証明の過程が分からなくなることがあります。これを避ける省略方法は、既知の公式、または参考文献の引用です。推論の用語を使うときは、説明の途中または結論に、直接必要としない余分な式などを含む意味があります。これは、式を書く人の選択で左右されます。数学の式を扱うとき、式の形を変えていく過程のうち、展開は演繹に当たり、一般的に理解するときは、括弧を含む式で、括弧を外した表現に直すことと考えることができます。この逆順の意味の用語は思い付きませんが、例えば、括弧に括った式に直すことです。括弧にまとめるときの式の形は、式を扱う人の判断も反映します。その過程は、推論の用語の方が適しています。それによって、式の意味が分かり易くなったり、別の性質を見つけたりします。その代表的なものが、二次式の因数分解です。しかし、必ず実用的な解ができるのではなく、できない場合(複素数の解など)もあります。結論が一つ(等根)ではなく、解が二通り得られるとき、その一つを選ぶには理由が必要です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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