目次ページ  前ページ  次ページ

2. 論理演算

2.3 変数を一つ使う演算


2.3.1 代数学ではごく普通に使う関数形式

 数学で扱う三角関数「sin, cos, tan」は、入力変数一つを使い、一意の結果を一つ返す典型的な一価関数です。この逆関数もあります。しかし、入力する変数値の範囲に制限があります。結果も複数考えることができますので、多価関数です。したがって、一つの結果だけに制限する使い方の約束を決めます。一価関数と似た処理に、電卓(卓上計算機)には符号変換のキー「±」があることを再認識して下さい。演算処理では「−1」を乗じ、文字表記では、−符号を頭につけます。実は+の場合にはこの記号を省略する約束ですので、−符号がついた数の符号変換は、−符号を消すか、+記号に換えます。ここでの−符号は、「−1」を乗じる使い方をしています。文字としての「−」表記は、二つの顔を持ちます。引き算の演算子で使う場合と、符号変換の演算子です。電卓での操作を考えると分かります。負の数の入力は、−記号を最初に使います。符号変換は、演算の最後に±キーを押します。演算子の組み合わさった代数式の演算順序では、乗除の演算子で繋がった個所を先に計算しておいて、+または−の計算を後にします。この約束が演算子の優先順位です。実際に数値計算をするときは、乗除の演算子の左右部分を先に計算し、それを個別に保存しておいて、最後に全体を加算します。引き算は、−符号の付いた数の足し算をする計算です。例えば、「2+3×4」と表記した式の計算結果は14です。電卓のキーをこの表記順で押すと、結果は20です。表記順と計算手順とが変るのは、かなり深刻な問題であって、プログラミング言語の設計とその利用では注意が必要です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

前ページ  次ページ