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易しくない

データベースのお話し

著者 : 島田 静雄

科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」(ISSN 1344‐7084)

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0. はじめに
 何かの書物資料を探したいとき、図書館(library)を利用することを思い付くでしょうか? そこでは、書物(=書籍、図書、本)を財産扱いしますので、分類番号などを付けて整理・保存をします。目的の書物を探す検索(retrieval)の手助けに図書カード (library card)などが整備され、種々の目録 (bibliography)も備えます。この全体についての専門家が図書館司書(ライブラリアン: librarian)です。もともと、情報学または情報科学(information science)は、大枠として文科系の専門に分類されていて、図書館学(library science)は、その一分野です。一方、コンピュータに関する学問の方は、大枠をcomputer scienceに分類します。情報科学の性格もありますが、理工系の応用技術の性格を持ちます。しかし、コンピュータのようなカタカナ語を学問名にすることを避けるため、これを情報工学と言う大枠に含めたことことから、混乱が始まりました。コンピュータを利用するあらゆることを、情報処理と総称して、情報をコンピュータと読み替えるような解釈になってしまいました。図書館学にコンピュータの利用も必須になってきましたので、図書館情報学(library and information science)と言うようになりました。コンピュータは、所詮、道具です。目的に合わせて使い方の研究をします。データベース(database: DB)の開発と利用の研究は、文科系専門の性格もあります。コンピュータが開発されると共に直ぐに始まっていたのですが、理工系専門の数値計算への利用に比べると、地味な扱いを受けていました。データベースの利用を、筆者が、専門とする橋の研究に役立てたいとする要望は自然です。文献調査(literature survey)は、必然的にデータベース的な利用につながります。現在(2011)では、個人レベルでパソコン (personal computer)を利用して、私的なデータファイルを作成するための道具(ツール)も多くなりました。それを使いこなすところまで行くには、図書館が長年努力してきた図書館情報学についても、一通りの常識を埋めることから話しを始めます。
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