橋のデータベース
その構築と利用

著者 :  島田 静雄 
2015.09.25版

ま え が き

 橋は、多くの人が親しみを持ちます。日本は、地球規模の気候で見ると、年間雨量が3倍も多い国です。その水は、身近に小さな川や水路を持つ生活環境を構成します。そのこともあって、地域に密着して大小さまざまな橋が架けられ、人名や地名並みに名前を付け、その地域の目印(ランドマーク)として呼ぶ使い方もします。近くにあっても、少し離れた場所に在る橋までは詳しくないのが普通です。一般の人が橋について持つ好奇心は二通りあります。「橋の名前を知っていて、その場所を知りたい」、逆向きに、「或る地域にどのような橋があるかを知りたい」です。その案内に役に立つような資料の総合を、橋のデータベースと言う用語でまとめることにしました。公共に利用する橋は、社会資本(インフラストラクチャー)としての重要さがあります。国や県などが管理する橋は、維持管理の視点から、設計から架設までの話題、橋の用途・構造形式・橋長・幅などのデータ、創架・代変り・架け替え・撤去の経緯、などの記録を残しておくことが重要です。これらの事柄を調べる方法として、インターネットの利用が便利になりました。そうであっても、満足の行く情報を探し当てることには困難があります。例えで言えば、江戸に居て、長崎の橋の詳しい情報を知ることには限界があるからです。一般の人には、観光案内のような、興味を持ってもらう内容であることが要望されます。したがって、地域ごとに、情報を整理するボランティアに協力をお願いして、全国的、かつ総合的で使い易いデータベースに育てる必要があります。その具体的な作業に役立てるための資料をインターネットで公開することにしました。

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インターネット版について
 このWEB版は、雑誌「橋梁&都市PROJECT」に連載することを予定していた草稿です。原稿は、MS-Wordの一段組みで作成し、これをPDF形式に変換したものもWEBで閲覧できます。雑誌の方の原稿は、B5版2段組みの書式に合わせる必要がありますので、この草稿すべてを含んでいませんし、部分的に追加や削除があります。また、写真などはモノクロ印刷でしか紹介できません。

 ところで、2010年度から、出版関係は電子出版のビジネスモデルを模索する時代に入りました。従来、雑誌は、読者側では読み捨ての利用が普通です。発行者側は、原稿料を始め、編集から出版までの諸経費を賄うため、法的には著作権(文字並びのデータに関する権利)と、出版権(書物の体裁などのデザインに関する権利)とを盾にした排他的なビジネスモデルを構成してきました。学術雑誌では幾らか権威主義的なところがあり、著作に採用されると本人の業績として認められる使い方をしています。しかし、これを参考文献として紹介されている情報をもとに、その本文をコピーして利用することが不便です。雑誌に発表された情報を独立した書籍で再版されることは殆んどありません。この事情は、電子出版の時代を迎えて大きく変ろうとしています。従来の紙形式の出版形式を止めて、電子版だけにする事例が増えています。雑誌形式の発行部数が減少してきましたので、積極的に電子出版も視野にいれたビジネスモデルを研究する必要に迫られるようになりました。

 実を言うと、電子出版は、2000年(21世紀始め)から予測されていました。筆者は、この先取りとして、三種類の発表形式を試してきました。一つ目は、従来からの雑誌や書籍の形式です。これは、従来からの著作権制度を公的に認めてもらう手段です。二つ目、このPDF版をインターネットで公開することです。ページ数が多くなりますが、ユーザは、これをダウンロードして閲覧もできますが、ページ数が多くなりますので、印刷して見てもらうことが目的です。PDF版のWEBサイトも、差し当たり下記にしてあります。

中日本建設コンサルタント株式会社

 三つ目は、パソコンの画面でランダムに項目がアクセスするようにリンクを張ったWEB版です。その原稿はHTML形式に編集してあります。WEB版の利用方法を考えて、筆者の原稿は、約600字程度のパラグラフ単位に分けてあって、インターネットでのアクセス速度が速くなるように、一つのパラグラフがパソコンの一画面に入るようにしてあります。目次と索引とを参照すれば、かなり便利な検索が使えます。WEBサイトは、上のPDF版と同じ個所です。電子化文書を利用するとき、従来の印刷で常識としていた目次と索引とにページ番号を使うことができません。項目を探す目次と索引は、章・節・項のパラグラフ番号で検索するように使って下さい。