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4. 画像を含める印刷

4.4 画像情報史に編集した日本橋


4.4.1 浮世絵や絵葉書は貴重な情報源である

 観光地として有名な場所は、旅行の機会があれば、一度は生の眼で見る経験を持ちたい、と思うものです。同じように、有名な画家や彫刻家の作品の実物は、特定の美術館で展示されていますので、その美術館に行かなければ観ることができません。一度も現地に行く機会がなくても、種々の印刷物を通して情報を得ています。現代は、デジタルカメラの処理を応用して、カラー版の印刷物が簡単に作成できるようになりました。それに伴って、地域の観光案内を目的とした半ば公的な機関で、絵葉書を積極的に作成することが少なくなりました。観光地のホテルなどの私的な施設は、宣伝用パンフレットを作成しますが、絵葉書を作成していることも少なくありません。筆者は、旅行に出掛けるとき、橋を図柄に持つ絵葉書を現地で探すことにしています。絵葉書は、値段もほどほどですし、嵩張りませんので、記念として自分個人の資料に加えるだけでなく、お土産としても喜ばれます。旅行に行った知人などから郵送されてくる現地の絵葉書は、貴重な情報源としての価値があります。情報の説明に使う文書や画像は、実物から形を変えたコピーのコピーの性格を持ちます。既に存在しなくなった事象は、画像からしか具体的な情報が得られません。現代の絵葉書は、画像の複製物の性格を持ちます。著作権などの複雑な問題を抱えますが、文章だけでは説明できない情報を読み取ることができます。この報文は、橋を話題としています。その例として、日本橋をこの節で説明します。

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