2. プログラムの構造

2.1 "KUKEI"プログラム開発の経緯

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 プログラム"KUKEI"の最初のバージョンは昭和68年(1993)に半沢俊一郎(構造設計株式会社)によって開発され、そのプログラミング言語はN88Basicです。コンピュータのハードウェアが急速に進歩し、パソコンのOSがWindowsに代表されるようなGUIの環境になりましたので、プログラムも、それに合わせた改版が必要になってきました。その言語が、マイクロソフト社のVisual Basic 6.0 (VBと略)です。N88BasicからVBへの書き換えは、大部分が機械的に処理できます。しかし、Windowsの環境を利用するためには、インタフェース用のソースコードを別に追加する必要があります。これは拡張子(.frm)の付くファイルであって、VBの総合開発環境ツール(IDE)を使って作成しなければなりません。この部分を制御するにはかなり厄介なプログラミング技法が必要です。

 会話型のデータ入力を行うとき、入力の方法を説明する画面を表示させます。また、マニュアルをHELPの読み出しで参照できるようにしました。科学技術計算の場合には、計算処理に流れがありますので、その流れに合わせて説明を画面に表示させます。このとき、デフォルトのデータを利用できるようにして、ユーザがキーボードからのデータ入力の手間を省く方法を工夫します。何も変更を加えなければ、入力操作のデモンストレーション処理となりますので、初心者の教育用(tutorial)に使えます。

 入力要請の表示とデータ入力の確認を行うモニタ画面のことを、DOSの環境ではコンソールと言います。コンソールは、同時に、処理結果の表示にも使いました。Windowsの環境では、コンソールのような多目的に利用できる画面が使えませんので、機能別のウインドウを準備します。VBの用語ではこれをフォーム(form)と言います。この画面は擬似的なハードウェア(オブジェクト)と考えることができて、このオブジェクトを扱う部分を余分にプログラミングしなければなりません。このソースコードが、(.frm)の付くファイルです。

 プログラム"KUKEI"では、基本的に3つのフォームを使います。一つがDOSのコンソールと同じ機能を持たせた表示画面で、キーボードからの文字入力を受け付けるテキストボックスを付属させます。二つ目はプリンタへの出力をモニタする画面で、そのままテキストエディタになっています。三つ目はグラフィックス用のスクリーンです。これら三つは、子ウインドウの扱いとして、一つの親ウインドウに従属させます。親ウインドウは、上段にメニューバーを置き、最下段にステイタスバーを設け、ここをパネルに分割して、一種のファンクションキーのような処理に使います。この二つは、ユーザがマウスを使って処理を指示する場所です。


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