Chapter 6.3

6.3　例題プログラム RECT.BAS の解説

コンピュータグラフィックスで、単に図形を描くのと、幾何モデルにして図形を描くのとでは、得られる図形に本質的な差がありません。むしろ、任意の図形を描くには、モニターの画面を見ながら、ユーザーがインタラクティブに操作する方が便利です。その意味で、GEOMAPに、別のプレプロセッサを追加することを計画中です。ただし、図形を少ないパラメータを使って文書にして定義する方法を持たないと、データを記録しておいて、図形に再現性を持たせる工学的目的が失なわれます。以下に例題プログラムに使われているコマンドの、幾何学的な性質を解説します。

GEOMAPの平面図形が作られる空間は、右手系の立体的な世界座標系です。ただし図形データの説明は、普通通りの平面的なｘｙ座標系を使います。
単に矩形の寸法を言うときは、横と縦の寸法で言う方が一般的です。図形を描くときには位置を決めなければなりませんので、コマンド RECT のような表わし方では、矩形の中心座標も指定しなければなりません。GEOMAPでは、矩形の中心座標を世界座標の原点に置きます。矩形は最も基本的な図形ですので、一般的なインタラクティブな作図ソフトウェアでは、マウスを使って、左上から右下にドラッグして矩形を作るのをよくみます。GEOMAPの座標定義は右手系ですので、左下と右上の座標の組でデータを準備させます。この方式のコマンドが、RECTM です。矩形の作図を得るには、世界座標を矩形に区切るウインドウを設定して、ビューポートにはめ込みます。この矩形領域の設定方法は、ウインドウの中心にくる世界座標と、ウインドウの横幅で、コマンド DPWIND で設定します。ウインドウの縦の寸法は、ディスプレイの仕様に合わせて自動的に決まるようにしました。ここでは、ウインドウの設定を含め、矩形の寸法の決め方が3通りあることに注意します。
基本的な三角形モデルは、底辺をx座標に接し、二等辺三角形 RETANG と、原点を直角の頂点とする直角三角形 RRTANG の二種が用意されています。任意の三角形はRPOLYGを使って作ります。
原点を中心とした正n角形は、コマンド RNGONで作ります。このコマンドは、角度を与えることで、n角系の辺を持った扇形を作ることができます。n角系の寸法は、外接円の半径で指定するのがデフォルトです。特殊な指定として、一辺の長さで与えるか、内接円の半径で与えるか、の選択ができます。なお、角度は度で指定し、実数型のパラメータで引用します。
任意の形状をした多角形を作るには、RPOLYGを使います。このコマンドの使い方は、前節で既に説明しました。
コマンド REGFLと REGLCの二つのコマンドの解説も、前節にまとめてあります。

 
     10 PRINT "GEOMAP Demonstration Program"
 
     20 PRINT "---Generation Several Plane Models---" 
   
     30 DPWIND 0.,0.,40.
 
     40 DIM XYPOS(2,8),XYZPOS(2,26),FAEQ(3,2),ITABL(60)
  
     50 READ XYPOS  : REM ------ DATA FOR XYPOS ------  
 
     60 DATA 10,10,0,7,-10,10,-7,0,-10,-10,0,-7,10,-10,7,0 
  
     70 READ FAEQ  : REM ------ DATA FOR FAEQ ------
 
     80 DATA 1 1 -4, -1 1 -4
 
     90 CMINIT : REM ===================== RECT 
 
    100 RECT "A",10.,12.
 
    110 CLS : HDISP "A" 
 
    120 CMINIT : REM ===================== RECTM
 
    130 DIM POSA(2),POSB(2) : READ POSB : DATA 5 6  
 
    140 RECTM "A",POSA,POSB 
 
    150 HDISP "A"   
 
    160 CMINIT : REM ===================== RETANG   
 
    170 RETANG "A",10.,12.  
 
    180 CLS : HDISP "A" 
 
    190 CMINIT : REM ===================== RRTANG   
 
    200 RRTANG "A",10.,12.  
 
    210 HDISP "A"   
 
    220 CMINIT : REM ===================== RNGON
 
    230 RNGON "A",12,5.,0.0 
 
    240 CLS : HDISP "A" 
 
    250 CMINIT : REM ===================== RPOLYG  
  
    260 NP=8 : RPOLYG "A",XYPOS,NP  
 
    270 CLS : HDISP "A" 
 
    280 MREV=12 : REM ==================== RNGON
 
    290 FOR ANG=360 TO 90 STEP -90  
 
    300 CMINIT  
 
    310 RNGON "A",MREV,10.,ANG  
 
    320 CLS : HDISP "A" 
 
    330 NEXT ANG
 
    340 CMINIT : REM ===================== REGLC
 
    350 NF=2 : RADIUS=5 
 
    360 REGLC "A",FAEQ,NF,RADIUS
 
    370 CLS : HDISP "A",0,4 
 
    380 CMINIT : REM ===================== REGFL
 
    390 DPWIND 0.,20.,120.  
 
    400 READ XYZPOS : REM ------ DATA FOR XYZPOS ------ 
 
    410 READ ITABL  : REM ------ DATA FOR ITABLE ------ 
 
    420 NV=26 : NC=52   
 
    430 REGFL "A",XYZPOS,NV,ITABL,NC
 
    440 CLS : HDISP "A" 
 
    450 REM Data are reproduced by HDEV procedure in "DEVELOP.BAS" 
  
    460 DATA  1 -2 1 -14 11 -14 11 2 5 2 5 12 11 12 11 32 1 32 1 16 
 
    470 DATA  11 46 1 46 1 50 11 50 11 54 1 54  
 
    480 DATA    -6.07107   8.92893  
 
    490 DATA    -2.07107   4.92893  
 
    500 DATA   -10.31371  27.31371  
 
    510 DATA   -20.21320  17.41421  
 
    520 DATA   -17.38478  14.58579  
 
    530 DATA   -14.55635  17.41421  
 
    540 DATA  27 2 27 -2 31 -2 31 12
 
    550 DATA 1 2 3 4 5 9900 6 5 4 7 9900 7 8 9  
 
    560 DATA 10 6 9900 9 8 11 12 9900 13 12 11 14 9900 13   
 
    570 DATA 14 15 16 9900 10 17 18 6 9900 10 19 20 21 22   
 
    580 DATA 17 9900 4 23 24 25 26 7 9900 9999 /
 
    590 END

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