6章 基本的な平面図形の生成と図示

RECT.BAS

6.1 平面図形の幾何モデル

目次へ戻る次のページ

 GEOMAPは、立体図形を幾何モデルとして処理できるだけでなく、平面図形も幾何モデルとして扱えます。その方法は、多面体の処理となるべく本質的に同じになるように工夫しました。すなわち、平面図形のプリミティブの生成、移動・回転・変形、などの変換処理、和・差・積などの干渉処理、投影、などです。平面図形の幾何モデルは、立体図形をx軸の+側から−側に見たとき、見える面だけを残したサーフェースモデルの構造になっています。面は (y-z)平面に平行ですが、奥行(面のx座標)は任意に設定することができます。頂点の座標は3次元 (x,y,z)のデータを持っていますが、図形とし用いるのは(y,z) 座標です。

 多面体の処理に関する英字のコマンド名が英字のPで始まるように設計してありますので、二次元図形の幾何モデルに関するコマンド名は、英字のRをイニシャルにしてあります。Pは Polyhedron 、Rは Region (領域)を意味したものです。この第6章は、平面図形のプリミティブを生成する各種のコマンドを解説したもので、第1章の内容と対応する平面図形版です。

 コンピュータグラフィックスでは、丸・三角・四角などの基本図形は、図を描くための単位図形ですが、幾何モデルではそのような形状をした、色違いの「切り紙」のデータ構造を考えます。差当り、色の情報は扱いませんが、色違いの各種の切り紙がモザイク状に集まって地図のようになった図形が、2次元図形の幾何モデルの一般的な構造です。個々の切り紙は、多角形の外形をした図形で、その内側がその図形に属する領域です。したがって2次元の幾何モデルを多角形(の地図)モデルと呼びます。

 一つの多角形で構成されるモデルのデータは、複数の頂点・複数の辺・一つの領域、を持ちます。辺は二つの頂点を結ぶ有向線分で、その領域を左に見る向きに定義します。通常の多角形モデルは、領域を左に見ながら辺をたどって一周すると、領域を反時計回りに回ります。もし時計回りに回る順路があるときは、これはその領域にとって穴が開いていることになります。二つの領域の境界にある辺では、その辺の正の向きとは、注目している領域にどちらを考えているかで向きの約束が変ります。注目している領域を左に見る向きが、その領域に対する正の向きです。この約束は、多面体モデルの辺についても適用されています。

 多角形モデルをGEOMAPの作業領域に作成するとき、頂点・辺・領域の間の位相幾何学的な条件に矛盾が出ないように作らなければなりません。平面図形のプリミティブを作るコマンドは RRECT/RRTANG/RETANG/RNGON.... などが準備されています。これらは、幾何学的に単純な単独の多角形モデルを、少ないパラメータを与えて作ります。これらのコマンドには、面の高さと色とが指定できるように、heightとicolorの二つのパラメータを持っています。heightは、この節の最初のパラグラフで説明したように、面の奥行を指定するものです。具体的な利用の説明は、平面図形に高さのデータを与えて、2.5次元多面体モデルの作成するときに行ないます。ここでの例題では、省略して使います。面に色を指定できるようにしたのは、作図を他のアプリケーションを使ってカラー表示をさせることを含みにしたためです。ここでの例題では、このパラメータも省略しました。


次のページ