5章 多面体の展開図

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5.1 展開図作成のアルゴリズム概説

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 多面体の各面の平面図形を厚紙に描き、それを切りだして多面体に組み立てるのは、よく知られた工作です。このとき、できるだけ各面を連続させた展開図を使います。工作の立場からは、組み立て易さと、用紙の寸法を有効に使うような図形の配置を工夫します。ここでは、与えられた多面体から自動的に展開図を作成させるコマンド HDEV を紹介します。この処理は、3Dの幾何モデルから2Dの幾何モデルへの変換の一種です。多面体の幾何モデルのデータ構造と、展開図の幾何モデルのデータ構造とは、それぞれ頂点・辺・面から構成されますので、物理的に相似です。ただし、多面体の面は必ず他の面に接続しているのに対して、展開図の面(領域と呼びます)は、他の領域との境界ではない、自由な縁もできます。これは、日本の分県地図のように、周囲を海で限られた地図のような性質です。

 展開図を作成するには、多面体としてのトポロジー的な性質である頂点・辺・面の関係をそのまま保った幾何モデルのコピーを最初に考えます。これをサーフェースモデル(紙細工)であると考えて、切れ目を入れて切り離す辺と、隣の面とつながる辺とをあらかじめ決めておきます。その規則は次のようになります。