2.3 剛体としての回転

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 モデルの回転を指定する方法は、原則としてある点を通る回転軸を考え、その軸の向きをベクトルで与え、その向きを向いて右回りに測った角度を正の回転角度として与えます。基本のコマンドはPGROTAです。数学的に回転を扱う普通の方法は、座標軸に平行に選んだ3つの回転軸を同時に考え、その軸回りに3回の回転を行なわせます。この方法が一般のユーザーにとって感覚的に理解が難しくなるところです。まず、その座標軸が世界座標か、モデルの局所座標であるかの区別、ついで、回転の順番です。x軸、y軸、z軸の順番には6通りの選択があり、少しずつ結果が変ります。通常の数学式では回転軸を世界座標系で考え、(x, y, z)の順に処理するとして公式化しています。これをオイラーの回転といいます。これをコマンドPGROTで与えます。しかし実用的な方法は世界座標ではなく、モデル自身の局所座標の座標軸を考えると便利です。この場合には先行する回転によってモデルの座標軸の向きが変りますので回転の順番が大切です。これを理解するにはカメラを手に持って被写体を狙うパン・スイング・ティルトの三動作を考えます。カメラ自体を立体モデルと考えます。まずカメラを水平に構え、左に振ります。これをパンといい、カメラのz軸回りの回転です。そして上を見上げる向きに回転します。これをスイングといい、カメラのy軸回りの回転です。最後に被写体を視野にとらえたまま、頭を左に傾けます。これをティルトと言い、カメラのx軸回りの回転になります。この回転の順番は、(z, y, x)の順ですが、結果としてオイラーの回転と一致するのです。そのため、PGROTの回転角度の指定は(z, y, x)の順にしてあります。


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