1.4 座標系と単位系

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 数値データの準備をするとき、座標系と単位系の約束が必須です。平面トラスの幾何学的構造は、格点と、二つの格点を対にしてそれらを結ぶ部材とで構成されます。FEMの用語では節点と使うことが多いのですが、トラスの場合は格点の用語の方が普通です。FEMでは、座標に、右手系の数学座標(デカルト座標)を使います。X軸が水平、Y軸は垂直上向きを正とします。この向きは、構造力学での慣用とは逆ですので注意が必要です。長さの単位はメートル(m)、力の単位には重量トン(tf)を採用しています。したがって、鋼材のヤング率は2.1×10^7、です。SI単位系は採用しません。その理由は、橋梁では力の殆どが重さによる力ですので、SI単位系への換算は日常感覚に合わないからです。

 力と変位の向きの定義は、上で定義した座標系の座標軸の符号に揃えます。力は格点に作用させる集中力で扱い、分布荷重は考えません。力の向きは、これを座標軸方向の2成分に分けます。力学では、変位はそこに作用する力の作用方向に測ります。橋梁工学では、重力は下向きですので、撓みを測る正の向きを下向きに取るのが習慣です。しかし、数学座標を採用するFEMでは、重力も力の一種として、その正の向きを座標軸の向きで合わせます。したがって、重力はY軸の負の向きで与えることに注意します。


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