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エクセルSoftの使い方

4. シートの管理


4.1 複数のシートの集合でブックとする

 エクセルの最小作業単位はシートです。計算書は幾つかの章の集合でまとめますので、章単位で1から追い番号を付けたシートで構成します。技術文書では、表紙・前書き・後書きなどは章番号を付けません。この部分は、番号に0を当てます。また、この部分はレポート本文には含めないで、レポートの要約として作り、作成者の控えに使います。この他に、ユーザ向けの情報、参考データなどのシートを含め、この全体で独立したブックとします。このブック内で、或るシートは、なるべく完結したデータ集合になるようにします。別のシートから参照利用するデータは、一旦作業領域(図1の右側)に引用しておいて、そこから本体に取り込むようにします。他のブックのシートをコピーして利用することも可能ですが、ブック単位でソフトを配布するときにエラー参照を起こします。

4.2 参照したいデータは若い番号のシートから

 データの参照は、必ず出場所を必要とします。文書のまとめ方の原則は、データが利用された場所よりも前に定義と宣言を必要とします。したがって、別シートのデータ参照は、作業中のシートよりも若い番号からです。いつもそうできるとは限りません。後の計算で確定するデータを前に使うと、データが確定できなくなります。これを循環参照と言い、エラーが通知されます。数値計算プログラミングのテクニックとしては、デフォルトの数値を使って計算し、結果を判定してデータを変更し、再計算のループを構成させます。これが往々にして無限ループになって、ハングアップエラーを起こします。設計計算では、初期仮定値(デフォルト)を使って計算し、結果を人が判断して手作業で初期値を変更して再計算します。このような作業がありますので、完全自動化した設計計算をプログラミングすることはできません。また、この判断処理には専門的な知識を必要とします。

4.3 管理目的のシートは入力データと結果要約を表示させる

 シート番号0は、後のシートで参照する初期データと、そこで得られた計算結果の要約を逆向きに引用して表示させる目的を持たせます。設計計算書の場合、設計条件が初期データであって、ユーザが適宜、値を変更します。変更を受け付けるセルは、背景色を青に設定してあります。このデータは、後続のシートで変更しません。したがって、途中で変更を受け付けないようにするため、後続のシートはロックを掛けておきます。計算結果の要約は、計算応力度と設計提案断面の寸法などです。計算応力度を見て、提案断面の材料と寸法とが変更できるセルは、該当するシートの中で、セルの背景色が青に設定してあります。そのシートはロックを掛けてありますので、ロックを外してデータを書き換え、安全のため、再度ロックしておきます。他の個所で参照されるデータの中、検査目的に利用するものは、セルの背景色を黄色にしてあります。シート番号0には、後のシートで得られた結果を黄色の背景色で表示してあります。また、重要な項目は、そのセルに表枠を付けました。アンダーラインを使う強調表示は、見出しなどに使うようにします。

4.4 管理用データとして保存する方法

 シート番号0は、設計条件を変えた複数の比較計算の要約作成に使うことができます。この方法は次のようにします。まずシート番号0のコピーを作ります。これを管理用のシート名に変更します。この状態は、後続の計算結果を参照するリンクが生きていますので、データだけを残し、リンクを外した独立したシートに作り変える必要があります。このシート全体を選択し(Ctrl+A)、すべてコピーし(Ctrl+C)、そのまま同じ場所に貼り付けるのですが、形式を選択して貼り付けを使います。その作業メニューで、値のコピーを使うことでリンクが外れます。念のため、シートロックを掛けておきます。幾つかの比較設計の結果シートをこの方法で作成しておいて、別の管理用ブックに積み上げて保存するのが良いでしょう。この管理用シートを、改めて元のシート番号0に名前を変更しても、後続のシートとのリンクが切れていますので計算は成立しません。面倒でもこの管理用シートを見て、既存のシート番号0にデータを写して計算を再現しなければなりません。

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