1.3 座屈を扱う理論式

1.3.1 基本微分方程式

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 腹板の座屈を検討する場合の力学モデルは、図1に示すような等方性の矩形板で考えます。座屈を照査する等方性板の静力学的基本微分方程式の一般形は、次の様に表されます。

図1 等方性板に働く力と座標系の定義

 この微分方程式(1)は種々な荷重状態を含む一般式ですので、特定の荷重状態については右辺の該当する項のみを取り上げます。腹板の座屈問題に限定すれば面外荷重 qや上下方向yの軸力 Ny を除き、x方向の軸力 Nxとせん断力 Nxy だけを考えます。Nx および Nxy は、これを断面積で割り、直線変化をする軸応力と等分布せん断応力で考えます。さらに直線変化する軸応力は、等分布圧縮応力と純曲げ応力に分解することが出来ます。荷重項qを考えなければ、式(1)の微分方程式は同次式になりますので、静力学の問題ならば、w = 0が解になります。w = 0以外に式(1)の微分方程式が解を持つのは限られた特別な条件のときであって、これが座屈の条件になります。これを力学的に解析するとき、仮想の変形が生じたとして、そのときの応力と変形との関係を吟味します。そのため、応力条件別に整理した式を次にに示します。


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