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1. 身近な歴史としての明治以降

1.1. 筆者の私的な話題から


 明治維新(1868)は、平成28年(2016)の時点から数えて、約150年前の政変です。感覚的には、遥か昔です。筆者の私的な環境から言うと、祖父 保作(安政4〜大正5、1858〜1916)の10歳の頃です。祖父は、静岡県三島市の名士でした。明治天皇(嘉永5〜明治45、1852〜1912)とほぼ同年代で、文明開化の幕末から明治時代を通しで過ごしました。父 由雄(明治34〜平成8、1901〜1996)は、昭和天皇と同年であって、動乱の20世紀を生きました。静雄(昭和6、1931〜)は、日本敗戦(1945)以降の時代、約70年を経験してきました。祖父は筆まめであって、死ぬ直前まで、日記を書いていました。祖父は、若いとき(1881、明治14)北海道までの大旅行をしました。その旅行日記が残っています。三島から、徒歩で箱根を越え、小田原から馬車で横浜に行き、横浜港から蒸気船で函館に着き、松前から、船便を待って、遥かな利尻島に居た開拓使の義兄を尋ねたのでした。その帰途、横浜・新橋間の列車に乗って、文明開化真っ盛りの東京を見学した日記があります。父は、その日記の整理を手がけ、ガリ版の簡易印刷でまとめました。静雄は、これをワープロ原稿でまとめ、適当な方法で公表することにしています。祖父がどのような経験をしたかの傍証には、当時発売されていた浮世絵が貴重です。これらの画像がカラー版であることも、大きな価値があります。しかし、芸術作品としての評価が高くない作品もあって、一部の好事家の収集として残されています。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2016」

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