二変数の対を組み合わせた括弧単位の演算で表した表現を、分配率と言う論理法則にしたものがあります(表2.9)。前の第2.4.6項では、否定形とを組み合わせると、2つの論理変数の演算で、演算子違いでも同じ結果が得られる場合を解説しました。したがって、表2.9は、否定形を組み合わせると、さらに多くの表し方が得られます。表2.8と表2.9とには、三つの変数をP,Q,Rで扱い、否定の演算子演算させた場合を含めてありません。否定形を含めると、三つの変数の選択種類は2×2×2=8通りありますので、3変数の演算式の種類は48×8=384通りもあります。これらを全部網羅的に示すことはしません。その解決には、プログラミング言語で、論理変数を使った代数式を利用する方が便利です。この説明は次の第2.6節の証明方法で取り上げます。このときに記号論理学が威力を発揮します。
表 2.9 変数三個の論理法則
(*1) 結合律: [(P∧Q)∧R] = [P∧(Q∧R)] = [P∧Q∧R]
(*2) 結合律: [(P∨Q)∨R] = [P∨(Q∨R)] = [P∨Q∨R]
(*3) 結合律: [(P∨Q)∨R] = [P∨(Q∨R)] = [P∨Q∨R]
(*4) 結合律: [(P≡Q)≡R] = [P≡(Q≡R)] = [P≡Q≡R]
(*5) 結合律: [(P⇒Q)∨R] = [P⇒(Q∨R)] = [P⇒ Q∨R] |
(*6) 同値 [(P∧Q)⇒R] = [P⇒(Q⇒R)]
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(*A) 分配律: [P∧(Q∧R)] = [(P∧Q)∧(P∧R)]
(*B) 分配律: [P∧(Q∨R)] = [(P∧Q)∨(P∧R)]
(*C) 分配律: [P∨(Q∧R)] = [(P∨Q)∧(P∨R)]
(*D) 分配律: [P∨(Q∨R)] = [(P∨Q)∨(P∨R)]
(*E) 分配律: [P∨(Q≡R)] = [(P∨Q)≡(P∨R)]
(*F) 分配律: [P∨(Q⇒R)] = [(P∨Q)⇒(P∨R)]
(*G) 分配律: [P⇒(Q∧R)] = [(P⇒Q)∧(P⇒R)]
(*H) 分配律: [P⇒(Q∨R)] = [(P⇒Q)∨(P⇒R)]
(*I) 分配率: [P⇒(Q≡R)] = [(P⇒Q)≡(P⇒R)]
(*J) 分配律: [P⇒(Q⇒R)] = [(P⇒Q)⇒(P⇒R)] |
[P⇒(Q⇒R)] ⇒ [(P⇒Q)⇒(P⇒R)]
[P⇒(Q⇒R)] ≡ [(P⇒Q)⇒(P⇒R)]
推移律: [(P⇒Q)∧(Q⇒R)]⇒(P⇒R) ……純粋仮言三段論法 (*注)
[[(P⇒R)∧(Q⇒R)]∧(P∨Q)]⇒R ……簡単構成的ディレンマ
[[(P⇒Q)∧(P⇒R)]∧(P∨Q)]⇒P ……簡単破壊的ディレンマ |
(*注)三段論法は、第2.5.8項で説明します。
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