目次ページ  前ページ  次ページ

1. 用語の定義と解説

1.2 論理演算に関係する用語


1.2.13 逆説(ギャクセツ):paradox

 逆理とも言いますが、パラドックス(paradox)の用語の方がよく知られています。哲学史上の有名なパラドックスが、「アキレスは亀を追い越せない」です。論理学の方では矛盾を含む主張のことです。「私は私であって、かつ私でない」のような主張です。文学などではレトリック的な技巧として使うことがあります。また、逆説と似たものに、二律背反アンチノミー:antinomy)があります。同一の命題から二つの互いに二つの相反する(矛盾する)命題が正当に引き出されることを言います。これに対するのが排中律(law of excluded middle)と言い、同一の命題は真であると同時に偽であることはできない、と言うものです。英語の用語からきたトレードオフ(trade-off)は、一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという二律背反の状態・関係のことです。平重盛がつぶやいたという「忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず」も二律背反の心情を述べた例によく引用されます。シェークスピアのハムレットが自問する「To be, or not to be -- that is the question」も有名です。二者択一の四字熟語があります。現実社会では、意思決定が必要になるときの難しさを言います。この課題は、現在から未来を向いた視点が必要なときに起こります。これは、二値論理学で解決することができない問題ですし、二値論理学の欠点とも言えるでしょう。この状態の実用的な解決は、妥協ですが、これを認めると三値論理学になります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

前ページ  次ページ