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1. 用語の定義と解説

1.1 一般的な論理学の用語


1.1.7 条件文と仮定文

 論理学では、仮定文(IF sentence)を扱いません。これは文学的な言い回しだからです。もし(If)」で始まる過去形の文は、現在はそうでないことを言う文学的な言い換えです。論理学では条件文(conditional sentence)の用語を使い、「もし」を省き、動詞も現在形を使い「〜ならば」で次の文に繋ぎます。現在の時点では「肯定・否定」または選択肢が決まっていなくて、この後(未来)でそれが決定される文です。コンピュータのプログラミング言語では(if 〜then 〜else)の書き方をしますので、英文法の仮定法の使い方と混同します。つまり、条件文と仮定文とは全く別の文です。日本語では、通称で「れば・たら」として出てきます。この正しい使い方と意味の区別ができるでしょうか? 例として動詞の「在ったら・在れば」を考えれば判ります。「たら」は過去形ですので、「在ったら」と言うのは、実は無かったことの言い替えです。したがって、言い方としては「無かったので」を原因とした結果を述べた論旨です。実質は条件文でも仮定文でもありません。否定形の「無かったら」は過去には在ったことの言い替えです。「在れば」は現在形であって、現在は無いことを意味し、未来では「在るか無いか」が決まっていません。日本語の文語動詞の活用形に、未然形已然形があります。未然とは、「いまだしからず」と訓読みし、これから動作を起こす状態を意味します。已然形は「すでにそうなった」の過去を意味します。口語文法の用語では、これが仮定形の分類になりました。仮定を言う文は、過去の事象がそうでなかったことを言うからです。

英文法を習うとき、仮定文の使い方を覚えなければなりません。その場合の動詞は、過去形を使う約束です。と言うのですが、  ブール代数を応用するコンピュータ言語では、二値論理学を扱いますので、2分岐の条件文に(if 〜then 〜else)を使います。多値論理学な選択肢を実現させるときは、2分岐を連ねるときにElseIf文で繋ぐか、(select〜case)のような並列の選択肢を使います。日常の日本語では、「〜するとき」「〜する場合」が条件文です。なお、「とき」大きい条件、「場合」は狭い条件と使い分けます。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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