データベースの開発と利用は、文字の扱いが主ですので、文科系専門の性格があります。コンピュータが開発されると共に直ぐに始まっていたのですが、理工系専門の数値計算への利用に比べると、地味な扱いを受けていました。データベースは、あれば便利です。データベースの利用を、自分の専門の研究に利用したいとする発想は自然です。文献調査(literature survey)は、必然的にデータベースの利用に繋がります。現在(2010)、個人レベルでパソコンを利用して、私的にデータベースを作成するための道具(ツール)も多くなりました。しかし、それを構築することを研究課題として取り上げるときは、目的意識が明確でないと焦点がぼけます。専門ごとに、データベースの中身に対する要望が異なるのは当然です。本来、データベースの構築は、閉鎖的に自分で作成し、自分の研究に利用することが目的ではありません。この種の私的な試みは、殆んど失敗しています。1980年代からほぼ4半世紀の間、大学での研究は産学協同が罪悪視されていました。研究成果を実社会で試行して評価され、それを研究にフィードバックして改良するような協力活動ができませんでした。開放的に、共同でデータベースを作成し、共同で利用する。その方法の提案がようやくできる時代になりました。
2010.9 橋梁&都市PROJECT |