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8. 剪断応力度に関する特殊な問題

8.2 幅広のフランジ有効幅


8.2.3 有効幅の提案原理

 剪断遅れは、単独に発生する応力ではなくて、構造物としては、曲げ応力度と合わせて考えます。そうすると、例えば、図8.2のように、単純に支持された梁の支間中央に荷重が作用すると、支間中央では、曲げモーメントによる圧縮応力度と剪断遅れによる局部的な圧縮応力度が加算されます。この状態が材料の降服点応力度を超えるようであれば、荷重が作用する度に、継続的に破壊が進行することになります。したがって、材料の使い方から見れば不経済になるのですが、有効断面を小さく仮定した上で弾性設計をします。剪断遅れによる応力度は、剪断力の変化の大きな部位で、かつ断面の軸方向の変位が拘束される個所で大きくなります。これは、橋梁構造では支点付近です。単純支持形式の梁では、支点付近は曲げ応力度分が小さいので、断面に余裕があります。一方、連続橋の場合、中間支点は剪断力の変化が大きく、また負の曲げモーメントも大きいので、下フランジについて有効幅を考えて応力の検証をしなければなりません。部材の断面寸法は、主に曲げモーメントで決めます。剪断力(の変化)は、主に大きな自動車荷重の通行で起こります。曲げモーメントの方は、支間が長ければ大きくなります。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2011」

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