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4. 論理学の応用場面

4.3 日本語文の見直し


4.3.4 論理用語に対応する日本語

 
表4.8 日本語の名詞以外の品詞の使い方(例として見て下さい)

論理学の用語

日 本 語 で の 表 し 方

備   考

肯定
 
存在
部分肯定
…です、…である、…だ、(英語のbe動詞相当)、動詞の終止形一般
…い、…しい(形容詞の終止形)、…だ(形容動詞の終止形)
…がある(無生物)、…がいる(生物)、存在する
…だけ、…もいる、…もある、
「です・ます」など、
言い回しの区別があり
ます。
限量詞
 
代名詞
 
すべて(の)、なんでも、みな、というもの、つねに、いつも、或る、
任意の、だけ、少なくとも、ともに、…も、
もの、こと、その、おなじ、のような
だれでも、だれも、どこも、どれも
数量の定義に使いま
す。これらは集合論に
関係します。
否定の限量詞 なにも…、まったく(全く)…、全然…、必ずしも… 全称否定命題
連言 および(及び)、かつ、さらに、したがって、そこで、そして、
そのうえ、それから、それだけでなく、それで、それなのに、
それゆえ、ただし、…と、なお、ならびに(並びに)、…の時、
ふたつとも、また、…し、…して、…(し)たり…で、…が、
ところで、だが、けれども、でも、ところが(逆態)しかし、だが、のに、
ながら、さりながら、がしかし(逆接)さて、つぎに、では、
連用中止形も連言とし
ます。いわゆる「て」
フォームも含みます。
逆接、逆態も論理的に
は連言。「など」はやた
らに使いません。
選言 あるいは、いずれか、か、かあるいは、または(又は)、
それとも、
もしくは(若しくは)(主格の「…も」は補助的に用いられる)
普通の日本語では、排
反的な意味です。両立的
とも言います。
内含
条件文の前件


条件文の後件
ならば、…(する)と、なら、ば、れば、たら、(の)場合(に)、
…のとき(同時性の場合には、「時」を使い、連言と同じ)
ときだけ、の限り、…のみ、…だけは、だけである
にかぎ(限)られる、にかぎ(限)る、にかぎ(限)らない
…のとき、そのときにかぎ(限)って…、ときだけである
だから、ゆえに
仮定法の「もし」を使い
ません。


双条件文
推論 ゆえに必ず、ゆえにおそらく、当然である、必然である、必ず、
かならず、みなす、そうだ、ようだ、らしい、う、よう
可能である、あり得る、
…ので、妥当である、だから、はず、ちがいない、しかない、
なければならない、ありえない、あき(明)らかである
必然的真


可能
理由 ために、ためには、だから、…(する)ためである、ので
なぜなら、…からである、…からだ
 
許容 よろしい、(し)てもよい、…てよい、可能である、できる
れる、られる
 
命令
禁止
(し)なければならない、すべきである、必要である
(し)てはならない
 
定義文 英語のbe動詞に相当する「です・である」式の文が、定義文。
  {「単語」は、「区別」+「概念」である} …または、
  {「区別」+「概念」が、「単語」である} …の形式がよい。
動詞を定義するとき以外に、「もの」や「こと」などの代名詞を使わないようにする。
定義文は双条件文にす
る。言いかえと混同し
ない
説明文 読む、書く、走る、歩くなど、動作動詞を使う普通の文は、説明文になる。 普通名詞は具体性が低
比較文 比べる対象との類似点をあげるやり方(含意、対等)と、相違点をあげる
やり方(逆、反対、矛盾)とがある。
…のような、…らし
い;は修辞学の直喩
副詞、
形容動詞、
形容詞
少々、しばらく、すぐに、早く、十分に、大幅に、大きい、小さい、
非常に、間もなく、急激に、いろいろな、高い、古い、
大勢、至急、よく、たまに、………
意味に幅があり、二値
論理に向きません。数
量化して使います。
意見陳述 考えられる、思われる、好き、嫌い、心地よい、痛い、苦しい、眠い、
見える、聞こえる、甘い、辛い、臭う、
感覚に関する用語は主
観的な判断です。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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