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4. 論理学の応用場面

4.3 日本語文の見直し


4.3.1 日本語の解読に必要な常識

 論理学が応用される主要な場面は、正確に相手に意味を伝える実用文書の作成のときです。感覚的、感情的な表現を評価する文学的な作文や、自己の考え方を主張する意見陳述の作文は扱いません。言葉を正確に使うには、論理学的には主語・述語の対で構成した命題を単位とし、それらを接続詞などで繋いで、意味を補います。書かれた命題は、論理学的にはすべて(真)でなければなりません。明示的に真偽を表した文が省かれている場合があります。これは、今話題としている文の環境での常識、または事実として決まった知識です。文章を読む相手側にコンピュータを考え、それに理解させるには、これらの知識を補う知識ベースの利用が必要になります。この課題が人工知能ですが、この報文での扱いには含めません。幾つかの命題の並びで、何かの結論を主張する文は、前の第>4.3節にあるような、パズル的になる作文をしません。しかし、説明に使われる文ではレトリックも組み込まれますので、尤もらしい論旨の進め方であっても、ウソになることがあります。そうなる主な原因は、用語の定義とその使い方を正確に決めておかないことにあります。これを教材にまとめたのが、この報文の最初に紹介した「実用文書のまとめ方」です。そこでは論理学の説明を省いてありますので、それを補う資料として表4.8を見て下さい。
科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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