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4. 論理学の応用場面

4.2 論理パズル


4.2.6 問題と解答(変数4個の例)

海王星の魚(前項文献のQ34より)
このほど、海王星の魚について、超高精度の天体望遠鏡を使った、以下のような調査結果が発表されました。
  (1)海王星には、肺のある魚・背びれのある魚・鱗(うろこ)のある魚・牙のある魚がいる。
  (2)肺か鱗がある魚は、背びれを持たない。
  (3)鱗がない魚には背びれがある。
  (4)肺か背びれがある魚は、鱗か牙のどちらか一方のみを持つ。
このとき、以下の命題の真偽を調べよ。
  T 背びれがある魚には牙がある。
  U 牙がある魚には肺はない。

前提となる命題は4つです。これを論理変数P,Q,R,Sで表します。
   P:肺がある
   Q:背びれがある
   R:鱗がある
   S:牙がある

命題I,Uの真偽を調べるには、文で言えば、「(2),(3),(4)が共に成り立つ(論理積でつなぐ)ならば、IまたはUとの内含の結果で判定する」となります。例えばUを調べるときは、命題代記号式で書くと、下の式(4.1)ようになります。
   (((P∨R)⇒)∧(⇒Q)∧((P∨Q)⇒(R|S)))⇒(S⇒)     …式(4.1)
ここで、記号「」は、排他的選言XORです。

P,Q,R,Sの真偽の組み合わせは。24=16通りあります。これを真偽値表に構成するには、16行必要です。幾らが込み入った計算表ですが、式(4.7)は、手計算でも手順を追いかけることができるように真偽値表の演算をまとめました。設問Uの真偽の判断は、手順番号KとNから真と分かります。

表4.7 命題の論理式表現とその演算

 

手順番号

記号式と演算

P,Q,Rの可能な組み合わせを考えた真理値表

演算結果説明




変数記号

1

1

1

1

1

1

1

1

0

0

0

0

0

0

0

0

肺がある

1

1

1

1

0

0

0

0

1

1

1

1

0

0

0

0

背びれがある

1

1

0

0

1

1

0

0

1

1

0

0

1

1

0

0

鱗がある

1

0

1

0

1

0

1

0

1

0

1

0

1

0

1

0

牙がある


 


 

 

@

(P∨R)

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

0

0

1

1

0

0

 

A

0

0

0

0

1

1

1

1

0

0

0

0

1

1

1

1

 

B

@⇒A

0

0

0

0

1

1

1

1

0

0

1

1

1

1

1

1

前提条件(2)

C

0

0

1

1

0

0

1

1

0

0

1

1

0

0

1

1

 

D

(⇒Q)

1

1

1

1

1

1

0

0

1

1

1

1

1

1

0

0

前提条件(3)

E

B∧D

0

0

0

0

1

1

0

0

0

0

1

1

1

1

0

0

 

F

(P∨Q)

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

0

0

0

0

 

G

(RS)

0

1

1

0

0

1

1

0

0

1

1

0

0

1

1

0

 

H

F⇒G

0

1

1

0

0

1

1

0

0

1

1

0

1

1

1

1

前提条件(4)

I

E∧H

0

0

0

0

0

1

0

0

0

0

1

0

1

1

0

0

前提のまとめ





J

Q⇒S

1

0

1

0

1

1

1

1

1

0

1

0

1

1

1

1

仮説T

K

I⇒J

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

トートロジー

L

0

0

0

0

0

0

0

0

1

1

1

1

1

1

1

1

 

M

(S⇒)

0

1

0

1

0

1

0

1

1

1

1

1

1

1

1

1

仮説U

N

I⇒K

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

トートロジー

科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

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