目次ページ  前ページ 次ページ

4. 論理学の応用場面

4.2 論理パズル


4.2.5 問題と解答(変数3個の例)

アップルパイの論理(前項文献のQ23より)
「論理的であるか詩人である者は、論理的であるかアップルパイ好きである」。
これは真実と言えるでしょうか? 真実と言う意味は、演算結果がトートロジーになることであって、元になる式が恒真式であることを意味します。

 三つの論理変数をP,Q,Rとしたとき、変数の取り得る真偽の組み合わせが8通りになりますので、真偽表で追いかける演算は8列を使います。

表4.5 問題文を元にした推論の結果

 

手順番号

記号式と演算

真理値表

説明

命題変数


1

1

1

1

0

0

0

0

論理的

1

1

0

0

1

1

0

0

詩人

1

0

1

0

1

0

1

0

アップルパイ好き






@

(P∨Q)

1

1

0

0

0

0

0

0

 

A

(P∨R)

1

0

1

0

0

0

1

0

 

B

(P∨Q)⇒(P∨R)

1

0

1

1

1

1

1

1

 

C

(Q⇒R)

1

0

1

1

1

0

1

1

 

D

((P∨Q)⇒(P∨R))⇒(Q⇒R)

1

1

1

1

1

0

1

1

 


 この真偽値表の演算結果は、第6列だけが偽(0)です。これは、連続連言式∧Q∧)の否定と同じですので、双対原理を使えば、連続選言式(P∨∨R)と同値です。

問題の続き:上の結果を判断して、下の論理式の真偽を判定して下さい。
なお、参考のため、問題の文を論理式で表したものを右端に書きました。
(a) 詩人はアップルパイ好き。                      (Q⇒R)
(b) アップル好きでないなら詩人ではない。              (
(c) 論理的でない詩人はアップルパイ好き。              (∧Q)⇒R
(d) 詩人でない論理的な人はアップルパイ好き。           (P∧)⇒R
(e) アップルパイ好きでない論理的な人は詩人。           (P∧)⇒Q
(f) アップルパイ好きでない詩人は論理的。              (Q∧)⇒P
(g) 論理的でなく、かつアップルパイ好きでない人は、詩人。    ()⇒Q
(h) 論理的でなく、かつアップルパイ好きでない人は、詩人ではない()⇒

 8通りの設問の真偽は、「D ならば(a)である」「 Dならば(b)である」…の演算を個別にして、トートロジーであれれば真であると判定します。個別の演算は、表4.5のように進めるのですが、表4.6は、途中経過の計算式を示すことを省いて、「式の真偽値表計算」に結果を示しました。設問の真偽値表の計算がトートロジーであれば、この設問はホント(真)です。

表4.6 設問の真偽値の判定

設問

記号式と演算

式の真偽値表計算

設問の真偽値表の計算

判定

(a)

Q⇒R

1

0

1

1

1

0

1

1

1

1

1

1

1

0

1

1

ウソ

(b)

1

0

1

1

1

0

1

1

1

0

1

1

1

1

1

1

ウソ

(c)

∧Q)⇒R

1

1

1

1

1

0

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

トートロジーである

(d)

(P∧)⇒R

1

1

1

1

1

0

1

1

1

1

1

1

1

0

0

0

ウソ

(e)

(P∧)⇒Q

1

1

1

0

1

1

1

1

1

1

1

0

1

1

1

1

ウソ

(f)

(Q∧)⇒P

1

1

1

1

1

0

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

トートロジーである

(g)

)⇒Q

1

1

1

1

1

1

1

0

1

1

1

1

1

1

1

0

ウソ

(h)

)⇒

1

1

1

1

1

0

1

1

1

1

1

1

1

1

1

1

トートロジーである

科学書刊株式会社:電子版 「橋梁&都市 PROJECT: 2012」

前ページ 次ページ