図2.1のベン図は、二値論理学の説明には誤解を起こします。その理由は、領域を表す図形に、丸が二つと外枠の矩形を考えて三つあるからです。集合論の説明図として見ると、二つの円が離れている場合、一方が他方に含まれる場合を扱っていません。二つの円が交差する図は、領域が四つできますので、演算の結果が四通りあります。しかし、この演算結果すべてに論理的な意味付けができません。集合論の説明にベン図を使うときは、二円(P、Q)が交差している場合、二円が離れている場合、PがQの内部にある(またはQがPの内部にある)場合を考えます。これを文で表現すると、表2.5に示すように四通りあります。記号(⊃と⊂)及び(⊇と⊆)は、論理学では使いません。
表2.5 集合論で「或るとすべて」を考えた干渉記号
番号 |
2円(P、Q)の位置関係 |
記号式 |
言葉による説明 |
1 |
P、Qが離れている |
P∩Q=0 |
共通部分がない(空集合) |
2 |
P、Qが交差している |
P⊃Q または Q⊂P |
Pの部分集合がQに在る |
P⊂Q または Q⊃P |
PはQ部分集合を持つ |
3 |
Qの内側にPが入る |
P⊇Q または Q⊆P |
QはPをすべて含む |
4 |
Pの内側にQが入る |
P⊆Q または Q⊇P |
PはQをすべて含む |
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